東京五輪の新エンブレム募集はなぜ「パソコンを使えないと応募できない」のか?シンプルな理由1つ
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しかしスタジオでは、出演者たちが「応募方法がネットのみ」に意義を唱えた。恵が「幅広くっ て言いながら、パソコン使えない人は応募できない」「制限あるじゃん」と指摘すると、コメンテーターの大谷昭宏氏も「和紙の感覚も出したい人などがいる場 合、パソコンで上では出せない」と同意した。
さらに恵は、「手書きじゃだめなんだよ」と、デザイン自体をパソコン上でしないといけないと何度も強調していた。またワードマークに関しても恵は「なぜ既存の書体を使ってはいけないのか?」と質問した。
コメンテーターの人達が言ってるのはちょっと大げさなギャグとして
「手書きじゃだめなんだよ」と、デザイン自体をパソコン上でしないといけないと何度も強調していた
について「どうして駄目なの?」にシンプルな理由ひとつで答えてみる。
一個人の考えなんで普段デザインをしない方も「ロゴデザインをそういう視点で評価もするんだね」って思っていただければと思います。
シンプルな理由1つ
「そのロゴ、現実でどんな場面でどんなサイズで使われますか?想定するサイズでちゃんと使えてますか?」
ロゴは色々な用途で使われます、募集によってサイトのロゴだけかも知れないしサイトと名刺とパンフレットと紙媒体の求人広告に使われるかも知れない。
これを『東京五輪の新エンブレム』に当てはめて考えてみるとぱっと思いつくだけで
- 看板(普通サイズ)
- 看板(巨大サイズ)
- ポスター
- 雑誌(カラー)
- 雑誌(モノクロ)
- メダルの彫刻
- セレモニーの人文字のような場面
- 公式Webサイト
- Webバナー
なんかに使われそうですよね。
これ全部に耐えうる見た目であること・再現できるデータであることが最低限の条件になります。
そうしたら手書きのデータをスキャンしたとしてもスキャンしたそのデータは「伸び縮みで劣化するデータ」です(非可逆とかパスのスキャンとか言い始めると色々ありますけど省きます)。
なら「手書きでいい感じの作ったのに駄目なのかよ」と聞かれたら「そのままでは駄目」となります。「手書きで作ったデータ」を「無限に伸び縮みできるデータ」にしてやればいいんですね。例えばですがスキャンして取り込んだデータをAdobeのIllustratorというソフトで加工しなおせば「無限に伸び縮みできるデータ」をつくれます。
はい、これでなんとなくでも想像できたかなと思うんですがいかがでしょうか?
「ロゴ」って一言で言ってもそこには少なくともこういった考え方が必要なんです。
以下は記事タイトルからは少しずれた余談です。
僕がロゴを仕事で作るときは上記に書いたように「どんなサイズで使われるか」「その想定したサイズで耐えうるデザインか」はもちろんのこと「モノクロで使われたときに変ではないか」等使うシーンからコンセプトからもう色々なことを考えます。計算します。
人の作った(ロゴ)デザインを見る場合でも同じような見方をします。
「このロゴのデザイン好き!or嫌い!」
ってのは人間なのですから個人の趣味嗜好で普通にあります。
ただそこに「このロゴどんな場面で使われるんだろう?」って想像をひとつ加えるだけで好き嫌いの視点の他に「このロゴは良い設計をしてるな」とかちょっとデザインを評価する視点が生まれるんじゃないかなと思います。